2018年06月19日

貴重な体験はわかるけど・・・

時間が経つにつれ今回の地震が大きな地震だったことが分った。
震災は忘れたころにやって来るとはまさにこの事だ。
前日に群馬県、千葉県に地震があって何だか日本列島がそのような地震サイクルの中に嵌ったように感じていたからだ。
診療所で急患を診ていて会計をしていた時だった。一瞬身体が浮くような感じがした。そして患者さんが待合の椅子に座りこんだ。
ビルの柱がメシメシと音を立てた。地震だとは直ぐに分ったが人間あの場に居たら何もできないのを実感した。地震が収まった後も何だか身体がフワフワするような感覚だけが余韻として残った。
今思えば、朝来た時から街路樹にカラスが多く集まっていたし、鳴き方も尋常で無いくらいクァクァと煩かった。昨日の昼間に食事に行く時太陽の周りに逆さ虹も出ていた。阪神淡路大震災は明け方だったが周りが明るくなった時の地震も怖い。テレビでもやっていたが車がバウンドするし電柱も、電線もゆらゆらと揺れている。
今どきの車にはドライブレコーダーが付いていてその瞬間の様子がよく分かる。走っていたらあんなに揺れるのは体感できないだろうがあれだけの揺れは走っていても実感できただろう。
用水路の水が左右にゆらゆらと揺れて撮影者の人もただ事でないのが音声を聞いたらよくわかった。
交通網も全て遮断され当医院の女に子も来れなかった。一人は後から自転車で駆け付けてくれたが、患者さんは日にち変更で予約患者さんは代えて貰った。ただ「今日やっていますか?」と何人かの新患さんや急患さんは来られた。皆さん仕事は休みになってやることが無いので歯医者に来たとか。何が幸いするか分らない。
でも私一人で午前中診療したので患者さんにはご迷惑をかけた。
昼飯の時いつものお店では地震の話題で持ち切りだった。
当医院の入っているビルは10階建て、患者さんの中には高層マンションにお住まいの方も何人かいる。3人来られた方は30階以上にお住まいの方。「1階まで階段で降りるには降りたが今度上るとなったら大変ですわ」とか言っておられた。エレベーターは周辺ビルのすべてが点検のために一斉にストップ。近所のスーパーもエスカレーターは動いていてもエレベーターは停止中。隣のビルでは車が上昇中に停止になったままで人が中に閉じ込められたらしい。
エレベーターの会社に電話を入れたらあちらこちらで点検のために職員が出払っていて中々捕まらなかったとか。笑い話だがエレベーターで地震にあったら最寄りの階で停止することになっているらしいが車用のエレベーターはそうではなかったみたいだ。停まるには停まったが今度はドアが開かない。手動で開けようにも人が居ないとかで解放されるまで2~3時間車の中に閉じ込められたとか。そんな患者さんが昼からやって来て一からこの話を聞くことになった。「何より無事で良かったじゃないですか」そう言うのがやっとだった。でも何かその患者さん、その時は焦ったと思うが今では貴重な経験をしその話をもう何人にしたことかと笑っておられた。
私にしていたかと思ったら今度は受付の子にも一から話をしておられた。その子は黙って聞いていたが一度目はチェアーサイドで二度目は受付で。患者さんは違う女の子だと思っているに違いなかった。愛想の良い子で「さっき聞きました」とは決して言わない子だった。私なら「それ、さっき聞きましたよ」:と言ってしまうのに。

ページの先頭へ